技術情報

損防検診室

繁殖成績を改善するために(その4)
〜繁殖成績の見方(2)〜

事業部診療課 損防検診室
獣医師 三宅 英之

 今回は前号でご紹介しました「妊娠率」を用いた各種グラフによる、繁殖成績の評価方法についてご説明します。また現在、群疾病(繁殖検診)をご契約いただいている方は、Web上 でいつでも閲覧することができます。

1.時系列グラフ(図1)
 このグラフでは「授精実 施率」と「妊娠率」の経時的 な変化を見ることができます。これにより、繁殖に影 響を及ぼす重大なイベント(暑熱、エサ、肢の問題等)が過去のどの時点で起こったのかを見つけ出すこともできます。
 図1を見ると、昨年4月の検診開始から、授精実施 率(青)と妊娠率(橙)が伸びていて、より多くの妊娠牛を確保できていることが 分かります(1年間で約40頭の差になる!)。しかし、検診開始の前も後も7月の「授精実施率」と「妊娠率 」が低下しており、暑い時期に問題があることが推察できます。大切なことは現状を把握し、努力を継続することです。



2.搾乳日数グラフ(図2・3)
 このグラフでは、搾乳ステージごとの「授精実施率」と「妊娠率」を表すと同時に、まだ妊娠していない牛がどのくらいのスピードで 減少しているのか(緑の曲線)を確認することができます。A農場(図2)は全体に授精実施率と妊娠率が低く、分娩後150日付近での空胎牛は60〜70%も存在します。一方、B農場(図3)は分娩後日から高い授精実施率を維持し、分娩後150日付近での空胎牛はわずか10〜20%です。


3.初回授精日数の散布図 (図4)
 図4は縦軸を初回授精時の搾乳日数、横軸を現時点での搾乳日数として、個体ごとの初回授精だけをプロットしたグラフです。検診開始当初の2018年は、初回授精が早い個体と遅い個体がいて、全体的にバラついていますが、2020年はバラつきが少なく、VWP(分娩後に授精を開始する日数)を意識した繁殖管理が行われていることが分かります。
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4.農場の治療別受胎率 (図5)
 NBMSでは検診結果のデータを元に様々なグラフを作成することができます。図5はある農場の年別・治療毎の受胎率を比較したグラフです。2017 年はオブシンク(定時授精プログラム)の受胎率が低く、2018年は自然発情とPG投与による受胎率が落ちています。一方、 2019年には全ての受胎 率が向上していることから、17,18 年と比較して牛群の状態が良好であり、繁殖成績が改善していることが想像できます。


 このようにNBMSのグラフでは、現在と過去の繁殖成績を分析することができます。この分析結果や乳検データから、農場の問題点や優れた点を見つけ出し、これから何をしたらいいかを農場主と共に検討していくことができます。
 これまで4回にわたり、繁殖検診について総論から エコー技術、繁殖成績の見方までご紹介してきました。この紙面を通じて「繁殖管理が酪農経営にとっていかに重要か」を改めて話し合うきっかけになれれば幸いです。また、繁殖検診に興味がある方は獣医師までお問合せ下さい。



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